今、呼吸器外科の医師不足が深刻化しているという事実を皆さまはご存じでしょうか。呼吸器外科の業務は、他分野の手術と比較した場合、より高度なスキルを要求されます。そもそも、肺自体が物理的に損傷しやすくもろい臓器と言われており、肺動脈に至っては人体中でもっとも弱いと評されている部分です。未熟な医師が触れることは難しく、高い習熟度を必要とするため、適正のない医師が安易に取り扱うことはできないでしょう。そのような背景も、医師不足の一端を担っているのかもしれません。
そこで、今回は呼吸器外科の需要、そして転職市場の動向についてお伝えしたいと思います。

呼吸器外科の医師数は1つの県あたり約26人

そもそも、呼吸器外科は慢性的に医師が不足している診療科目の1つです。今後は、高齢者の増加、肺がん等を中心とした疾病の増加が見込まれているため、よりディープな状況に陥る可能性が認められています。呼吸器外科に関しては、専門医資格を取得後、規定数のオペ実績や論文作成などの課題をクリアし、初めて専門医の資格取得が可能な科ですが、このような高いハードルが設定されていることもあり、医師数は1県あたりでなんと26~27人前後しかいないという事実が明らかとなっています。呼吸器外科専門医の総数も、2013年の時点では1315人と、かなり少数であることが分かります。そのため、潜在的なニーズが以前より高く、基本的に売り手市場が続いていると考えてもいいでしょう。
また、呼吸器外科医は減少が続いているため、疾患の増加と共に需要が高まることは間違いなく、大学病院ですら呼吸器外科医が2名~3名程度しか在籍していないという地域もあるのです。この状況は逆に考えてみれば、これから皆さんが呼吸器外科医を目指したとしても、実力を十分につけた頃には様々なポストが空いているとする予測すら可能だと言うことです。

呼吸器外科のある病院は少ないが、これから需要が高まる可能性が高い

呼吸器外科自体が、現在は絶滅危惧科とも言われています。東京や大阪など、一部の大都市を除いた場合、都道府県毎の在籍人数は多くて十数名程度であり、担い手自体がほとんどいないという状態です。
学会自体も現在の状況に懸念を抱いており、今では日本呼吸器外科学会のサイトにも、呼吸器外科がいかに素晴らしいのか、その魅力をアピールするページが作られています。
ただ、肺がん、肺炎などの疾病が著しく増加してきていること、今後の高齢化に従って更なる増加が見込まれていること等から、需要が今後大幅に高まっていくことは間違いないものと考えられています。現在、呼吸器外科を標榜している病院は少ないものの、将来的には需要の高まりと共に増加する可能性が指摘されています。

また、呼吸器外科を目指す医師に知っておいて頂きたいのが「呼吸器外科は、外科の中でも多忙ではなく、ワークはシンプルである」と言われている事実です。忙しい病院では多忙を極めるかもしれませんが、機能不全の臓器を修復するようなオペもほとんどなく、呼吸不全の方を手術するようなこともまずありません。よって、基本的には外科の中でも負担が少ないと言われているのです。

医療機関の規模によっては他領域との兼任を求められる場合も

就業した医療機関の規模によっては、他領域の外科と、兼任を求められることもあります。というのも、呼吸器外科には専門医が少なく、ニーズそのものは極めて高いのですが、呼吸器外科を標榜している病院自体が少ないため、消化器外科、あるいは乳腺外科など、他の外科と兼任が可能な医師が求められる傾向がみられています。